ハスプロジェクトとは 皆さん、ハス(魚時)という魚をご存じでしょうか。ご存じでなくても、はす(魚時)川という三方町を南北に流れる川はご存じでしょうか。文字を一見してわかるように、はす川の名前は、たくさんのハスがはす川に遡上してきたことから名付けられました。夏のはす川にはたくさんのハスが遡上し産卵したので、水面が盛り上がって見えたそうです。しかし・・・そんなはす川の風物詩は、今はもう見られません。それどころか、ハスの姿さえ見られなくなってきています。 実は三方五湖から消えてしまったか、消えつつある生き物はハスだけではありません。太古の昔、鳥浜貝塚人の頃にはオオヤマネコがいたようですし、江戸時代から昭和の初めまでの間には、ニホンオオカミやニホンカワウソ、トキやコウノトリなど日本からほぼ絶滅した種はもとより、ツルやハクチョウの仲間やマガンやヒシクイなどの雁類が次々と消えていきました。ここ20年ほどの間には、イチモンジタナゴがいなくなり、数羽同時に観察できたオオワシやオジロワシも、最近は1〜3羽程度が見られるに過ぎません。水草類では、水面を真っ黄色に染めるアサザや、白い可憐な花が魅力のガガブタなどが消えています。 このような生き物の変化は、私たちの食卓の変化にも現れています。一束の柴漬けで1kgも捕れたテナガ エビも、今は1kg捕るのに半日から1日かかるようです。フナやコイ、シジミを食べる機会も減少し、水田で手軽に魚捕りをしておかずにしていた時代は、次第に中高年世代の思い出話になりつつあります。 このように生き物がいなくなった大きな理由として、湖の周りの湿地(水草が生えた水辺移行帯)の消失と水質悪化が挙げられます。湿地は、生き物たちの生活の場であり、子孫を増やす場でした。例えば、田んぼという湿地では、春から夏にかけて、フナ、ドジョウ、ナマズ、メダカの稚魚、7種類のカエルのオタマジャクシ、そしてトンボなどの水生昆虫の子どもたちで大賑わいでした。ところがそんな賑わいも、湖と川の水辺がコンクリートで固められて消えてしまいました。このことは三方五湖周辺だけに限らず、県内全域で起こった現実です。 でも、三方町には1カ所だけ、かつての田んぼを思い出させてくれる場所があります。中山のカヤ田です。ここの田んぼでは、フナ、ドジョウ、メダカ、6種類のカエルの子どもたちがいっぱい泳いでいます。そこで、ここの田んぼを保全することで日本の里地の原風景を後世に伝え、さらには三方五湖に再び生き物の賑わいを取り戻し、生き物と人間が賑わう水辺を復活させようと立ち上がったのが、ハスプロジェクトです。 ハスプロジェクト推進協議会は、三方五湖流域の自然を愛する人を増やし、カヤ田での水田耕作をはじめ、自然観察会、自然の保全・復元のための調査および各種活動を行っていきます。 ハスプロジェクト推進協議会とは ホームへ |
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